快適、健康、ユーザー

修士論文を提出しました。
まだ本論をちゃんと書かないといけないし、
頭の中も整理したいけれど、とりあえず覚書。

タイトルは
「暖冷房時の省エネ性と快適性に配慮した戸建住宅設計指針の構築」です。

4年のときから、ずっと続けてきた、
住宅の実測とシミュレーションのまとめです。
簡潔にいうと、
「省エネ性と快適性のバランスをとるには、何に気をつけたらどれくらい効果があるかの検討方法」の提案です。

住宅の温熱環境は、たくさんの要素がからみあってできています。
人間の快適性も、たくさんの要素がからみあっています。

いろんな選択肢次第で、省エネ性と快適性のバランスは変化する。

設計のときに決定される部分もあるし、
使われるときに決定される部分もある。
しかも、その結果としての温熱環境の中にいる人次第でも変わる。

定量化することで、ひとつの軸が通るのでは。
軸が通ることによって、設計の際に取捨選択が可能になるのでは。
さらに、いつ、どう運用するかまで考えることで、より実使用に近い定量化を目指しました。

設備の設計の際に「住まい手(ユーザー)」の動きを含めて設計をする。
当たり前の話なのだけど、2年間住まい手の方々と話をしてきた自分としては、
やっぱり重要なファクターだと思っています。
現在の戸建住宅は、設計者の意図、住まい手の意図を、設備がつなぎきれていない。
そこをつなげていくのが、設備設計なのかも、とも思います。

発表は
2/17(火) 15:30〜 東京大学工学部1号館11号教室
です。興味のある方はぜひいらしてください。

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それを受けて、最近は、
「快適とはなにか」ということを考えています。

主観的な見方だけれど、
ユーザーは、「いたれりつくせり」だったり「かゆいところに手が届く」
感覚を求めていることが多いように思う。これは当たり前のことだと思います。

それを追求しつづけた先には、「なんにもしなくても快適」が待っていて、そうすると、
人はきっといろんな感覚を次第に失っていくんだろうなあ。

「求められていること(快適性)に応える」ことの先に
「気づかなかったこと(快適性?)に気づかせる」環境を作れないだろうか。
(きっと、建築家の人たちはそんなこととうに考え続けているのだろうけれど)

自分が今のところ知っている設備、環境の設計は、基準をいかに満たすか、に終始していて、
実際、自分の修士論文でも、そういう「基準」を目標にすえて論が進んでいる。
もちろん、最低限を確保するために、基準は必要だけれど、できればその先を探したいです。

「快適」というよりも「健康」といったほうがいいのかな。

建築を作る側よりも、使う側のほうがえらくなってきて、
使う側の要求を満たすこと(環境的にも)は不可欠だけれど、
使う側が気づいていなかった価値を忍び込ませられたら、と思う。

設備設計、あるいは環境エンジニアリングができることは、たくさんあるに違いない。

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それにしても、知識と言葉が乏しい。
本を読もう。あとネット。みんなネットを利用してうまくしゃべっている。